2015年報告書
1. はじめに
第40回「佐久地方の野山を美しくする日」クリーンハイキングの報告にあたり、皆様のご参加ご協力に対し、心よりお礼申し上げます。6月5日は環境の日です。これは、1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたもので、 国連では6月5日を「世界環境デー」と定め、日本では「環境基本法」により「環境の日」と定めています。 そして、6月の一ヶ月間は環境省の主唱により「環境月間」とし、各地で様々な行事が行われています。
さて、佐久地方ではいまから47年前(1968年)に、地元山岳会によって山での清掃活動が始められました。 当時はまだ「ごみはごみ箱へ」が一般的であり、ごみ箱を設置すれば山はきれいになると思われていました。 しかし、ゴミ箱の周辺はごみが散乱しひどくなるばかりでした。 きれいな場所に心無い一部の人がごみを捨て始めると、そこにごみの山ができ、さらにごみが捨てられるという悪循環になってしまいました。
そこで私たちは山をきれいにするには、ひとりひとりが自分で出したごみは自分で持ち帰らなければならないという原点に立ち返り、「ごみ持ち帰り運動」を発展させてきました。
当初は、山岳会独自で行っていたクリーンハイキングも、現在では県下各地はもとより、全国的に6月5日の世界環境デーに併せて統一行動をとる、 「一斉クリーンハイキング」として定着しました。
私たちがクリーンハイキングを行う意義は、自分たちの手で少しでも美しい自然を取り戻したいということにあります。
環境月間であるこの時期に、関係自治体等のご支援ご協力をいただき、趣旨に賛同し参加していただいた広範な人達と共に 「佐久地方の野山の自然を子供たちに残そう!」・「ごみ持ち帰り運動の輪を広げよう!」のスローガンのもと、この活動を広く市民運動として今後に継続させていきたいと思います。
今後とも、ご支援ご協力のほどを併せてお願い申し上げます。
実行委員長 坂本昌士
2. クリーンハイキングの概要
第40回「佐久地方の野山を美しくする日」クリーンハイキングは、関係自治体、諸団体、地域住民への呼びかけを行い、6コース116名の皆さんの参加により実施することができました。今回収集したごみの総量は13.5kgでした。 これまでの累計を見ますと、参加者は5,236名、ゴミ収集量は玉ねぎ袋に換算して2,902袋+重量で1019.45kgにもなりました。
なお今回収集したゴミは、各地域の市町村の協力により分別後、処理をお願いいたしました。
そのほかにも、長野県勤労者山岳連盟では長野県下で、日本勤労者山岳連盟では全国の山々で清掃活動を実施しています。
3. 集計表 1975〜2015年
今回までの経過は次のとおりです。 ※第26回より収集量を重量に変更しました。回数 | 年度 | コース | 参加人数 | ごみ収集量 |
---|---|---|---|---|
第1〜10回 | 1975〜1985年 | 6〜10コース | 1,379名 | 2,033袋 |
第11〜15回 | 1986〜1990年 | 10〜11コース | 786名 | 403袋 |
第16〜20回 | 1991〜1995年 | 11〜12コース | 742名 | 262袋 |
第21〜25回 | 1996〜2000年 | 12コース | 630名 | 204袋 |
第26回 | 2001年 | 12コース | 116名 | 77.2kg |
第27回 | 2002年 | 11コース | 200名 | 72.4kg |
第28回 | 2003年 | 9コース | 66名 | 77.3kg |
第29回 | 2004年 | 10コース | 106名 | 74.4kg |
第30回 | 2005年 | 9コース | 129名 | 60.9kg |
第31回 | 2006年 | 8コース | 114名 | 88.3kg |
第32回 | 2007年 | 7コース | 81名 | 43.75kg |
第33回 | 2008年 | 7コース | 134名 | 95.0kg |
第34回 | 2009年 | 8コース | 118名 | 73.8kg |
第35回 | 2010年 | 8コース | 118名 | 153.0kg |
第36回 | 2011年 | 7コース | 104名 | 25.6kg |
第37回 | 2012年 | 6コース | 103名 | 59.3kg |
第38回 | 2013年 | 6コース | 133名 | 89.0kg |
第39回 | 2014年 | 4コース | 61名 | 16.0kg |
第40回 | 2015年 | 6コース | 116名 | 13.5kg |
これまでの合計 | 5.236名 | 2,902袋 1019.45Kg |
4. 第40回クリーンハイキング コース別内訳表
実施コース | 参加人数 | 可燃物 | ビン | カン | その他 | 計(kg) |
---|---|---|---|---|---|---|
@蓼科山 | 3名 | 1.7 | 0.5 | 1.7 | 0 | 3.9 |
Aみどり池 | 18名 | 0 | 0 | 0 | 1.0 | 1.0 |
B離山 | 29名 | 0 | 0 | 0 | 2.6 | 2.6 |
C御座山 | 38名 | 0 | 0.2 | 0.5 | 0.8 | 1.5 |
D双子池 | 20名 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 1.5 | 3.0 |
E黒斑山 | 8名 | 1.0 | 0 | 0.5 | 0 | 1.5 |
計 | 116名 | 3.2kg | 1.2kg | 3.2kg | 5.9kg | 13.5kg |
5. 参加団体および人員
団体名 | 参加人数 |
---|---|
佐久山の会 | 8名 |
佐久アッセントクラブ | 18名 |
しゃくなげ山の会 | 4名 |
クライミングメイト山の子 | 3名 |
浅間山麓国際自然学校インタープリター | 1名 |
合計 | 34名 |
6. 地域別参加人員
地域 | 参加人数 |
---|---|
佐久市 | 67名 |
小諸市 | 14名 |
御代田町 | 6名 |
東御市 | 6名 |
小海町 | 3名 |
佐久穂町 | 3名 |
軽井沢町 | 2名 |
上田市 | 4名 |
松本市 | 4名 |
安曇野市 | 2名 |
県外 | 5名 |
計 | 116名 |
7. 主催および主管
【主 催】 長野県勤労者山岳連盟【主 管】 「佐久地方の野山を美しくする日」実行委員会
(佐久山の会・佐久アッセントクラブ・川西山の会・佐久しゃくなげ山の会・クライミングメイト山の子)
8. 後援団体
小諸市、佐久市、軽井沢町、御代田町、立科町、佐久穂町、小海町、川上村、南相木村、北相木村、 東信森林管理署、信州豊かな環境づくり県民会議、豊かな環境づくり佐久地域会議、南北八ヶ岳保護管理運営協議会、 軽井沢高原を美しくする会、白樺高原を美しくする会、長野県自然保護連盟、浅間山麓国際自然学校 (順不同)
9. 協力団体
蓼科山荘、蓼科山頂ヒュッテ、しらびそ小屋、稲子湯旅館、高峰高原ホテル、高峰温泉、双子池ヒュッテ (順不同)
10. 各コースの状況および参加者の感想
@蓼科山コース | |
---|---|
コース | 七合目〜蓼科山〜七合目 |
コース責任者 | 古川澄雄 |
参加者 | 3名 |
ごみ処理先 | リーダー自宅 |
立科町役場 発(7:30) - 七合目(8:20) - 蓼科山(11:40〜12:30) - 七合目(14:30) - 立科町役場 解散(15:30)
【ゴミの散乱状況及び特記事項】
・頂上の岩と岩の奥底にプラスチックの弁当の空箱や以前の錆びた空缶が多数あった。
・七合目登山口駐車場及び登山道には、ほとんどごみはなかった。
・今回は、前任者の川西山の会のごみ処理に従ったが、来年からは、立科町役場にごみ処理を協力してもらった方がよいと思う。
【参加者の感想】
・ごみが少ないのには驚いた。クリーンハイキングなどの活動が一般登山者にも浸透して、ごみの持ち帰りが当たり前になっていることを知った。
七合目にて
蓼科山山頂にて
Aみどり池コース | |
---|---|
コース | 唐沢橋登山口〜みどり池〜唐沢橋登山口 |
コース責任者 | 戸塚白水 |
参加者 | 18名 |
ごみ処理先 | 小海町八那池公民館 |
小海町総合センター 発(7:30) - 唐沢橋登山口(8:00) - みどり池(10:50〜13:30) - 唐沢橋登山口(15:30) - 小海町総合センター 解散(16:50)
【ごみの散乱状況及び特記事項】
・登山道のごみは、以前に比べると少なかった。
・しらびそ小屋で、昼食の場所とお茶の接待を受けた。また、八ヶ岳開山祭の時に配られる記念バッジをいただいた。
・小海町の配慮により、ごみの収集と、下山後参加者のみなさんに八峰の湯に入ってもらった。
【参加者の感想】
・昨年も参加したが、今回も参加できてよかった。
・今年は雨に降られることがなくて良かった。
・すれ違う登山者から、「ご苦労様」と声をかけられてうれしかった。
しらびそ小屋前にて
登山道をいく
B離山コース | |
---|---|
コース | 南口コース登山口〜離山〜南口コース登山口 |
コース責任者 | 高橋知子 |
参加者 | 29名 |
ごみ処理先 | 軽井沢町役場 |
軽井沢町役場 発(9:15) - 南口コース登山口(9:45) - 離山(11:20〜12:30) - 南口コース登山口(13:25) - 軽井沢町役場 解散(14:00)
【ごみの散乱状況及び特記事項】
・登山道のごみが少なかった。山頂の周辺と東屋の近くにごみがあった。
・登山道目印のピンクテープが多く落ちていた。
【参加者の感想】
・ごみは拾えなかったが、気持ちよく登れた。
・きれいな山だった。いろんなコースがあるそうなので、何回も来たい。
・清掃山行はすっと参加しているが、きれいな山だった。
・山頂でいただいたお味噌汁が、とても美味しかった。
・子ども達がとても頑張って、最後まで拾っていたのが素晴らしかった。
・小さな子がいてどうなるかと思ったが、みなさんに心配してもらい無事に登れてよかった。
子ども達もがんばる
離山山頂にて
C御座山コース | |
---|---|
コース | 栗生登山口〜御座山〜栗生登山口 |
コース責任者 | 遠藤隆 |
参加者 | 28名 |
ごみ処理先 | 南相木村役場 |
小海町総合センター 発(7:00) - 栗生登山口(8:00) - 御座山(11:00〜12:00) - 栗生登山口(14:30) - 小海町総合センター 解散(15:30)
【ごみの散乱状況及び特記事項】
・ごみはほとんど落ちていなかった。登山口に少し落ちていた。
・南相木村役場に、ごみの処理をお願いした。
【参加者の感想】
・疲れたけど、楽しかった。
・登るのに精いっぱいだった。
・いろんな人との出会いがあってよかった。
・2歳の息子を連れて登ったが、周りにサポートしてもらい、助けられた。
・大人数で3つの班に分けて登ったが、うまくリーダーシップ・メンバーシップが発揮され、いいチームワークができた。
駐車場にて
本日の成果
D双子池コース | |
---|---|
コース | 大河原峠〜双子池〜大河原峠 |
コース責任者 | 松澤みのる |
参加者 | 20名 |
ごみ処理先 | 佐久市役所 |
佐久市役所 発(8:00) - 大河原峠(8:55〜9:25) - 双子池(11:00〜12:10) - 大河原林道 - 大河原峠(14:00) - 佐久市役所 解散(15:10)
【ごみの散乱状況及び特記事項】
・登山道のごみの量は少なかった。
・雌池のキャンプ場周辺に昔のごみが埋めてあり、ごみが多かった。
・ごみは埋め立てごみ(ビニール系)が一番多く、他に缶・ビン・不燃物などがあった。
【参加者の感想】
・十数年ほど参加してきたが、ごみが年々少なくなってきている。
・初めての参加だったが、山に詳しい会員の方の解説付きでとてもよかった。
・植物の説明が楽しかった。高山植物にも詳しくなれてよかった。
・年々ごみは少なくなってきているが、まだまだごみはある。毎年続けていきたい。
ごみを拾う参加者
みんなで拾いました
E黒斑山コース | |
---|---|
コース | 車坂峠〜黒斑山〜車坂峠 |
コース責任者 | 滝沢辰洋 |
参加者 | 8名 |
ごみ処理先 | 小諸市(市職員に委託) |
小諸市役所 発(7:50) - 車坂峠(8:30) - 黒斑山(11:10〜12:10) - 車坂峠(13:20) - 小諸市役所 解散(14:20)
【ごみの散乱状況及び特記事項】
・ごみは年々減少に傾向にある。新規に捨てられたごみは皆無と言ってよい。
・今回収集したごみは、そのほとんどが過去10年から数十年前の物(特に空缶類)と思われる。
・避難シェルターおよび黒斑山頂付近の林間には、大便の痕跡がいくつかあり、その時に使用したチリ紙が散見されたが、これの処理は山でのトイレ問題と相まって簡単に解決には至らないだろう。今後の課題である。
・浅間山麓国際自然学校インタープリターの方には、同山周辺の自然について詳細な解説をしていただいた。
【参加者の感想】
・年配者で全くといっていいほどの初心者だが、この山に登ることができてよかった。
周辺の眺望と浅間山の雄大な景観に大変感動した。
・昨年は雨で中止だったが、今年改めて登ることができてよかった。
・山頂付近では、特に積雪期の用足しの際にチリ紙の散乱など問題であるが、水に溶けるトイレット紙の使用が良いだろう。また、それ以前に、山でのトイレ(特に大便)問題は、携帯トイレの携行と処理を包括的に考える必要があるので、今後の課題である。
ごみを拾いながら
黒斑山山頂にて
11. まとめ クリーンハイキングの今後の方向
第40回クリーンハイキングは事故もなく無事に終了することができました。各自治体、関係諸団体をはじめ多くの皆様のご支援ご協力に対し、心より感謝申し上げます。
今回のクリーンハイキングは、6コース116名の方々がご参加くださいました。
地元の皆さんはもとより、県下各地をはじめ、県外からもご参加いただいています。 そして毎年のこの行事を楽しみにしている人達も増えており、ゆっくりではあるけれども、 確実にこの佐久の地域に根付き、その声は佐久地域の山を愛する県外の人達へと届いています。
私達が毎年クリーンハイキングを行っている地域では着実にゴミの量が減ってきており、 美しい自然の中でハイキングができることは大変喜ばしいことです。
しかし他の山域や自然の中では、まだまだこうした気持ちの良い状態になっている所は少ないでしょう。 私たちはこの美しい自然を子供たちに伝えていくために、一人でも多くの自然愛好者に「自分で出したゴミは自分で持ち帰る」 というゴミ持ち帰り運動を広げていき、たとえ地味ではあっても次代へとこの運動を継続していくつもりです。
さらには、この活動を通じて地球規模での環境問題へと関心が高まれば幸いと考えています。
今後とも、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
「佐久地方の野山を美しくする日」実行委員会